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2024.10.11展示
※11月13日(水)は都合により17時閉店となります。
記憶の庭園学
落ち葉のように降りつもる記憶
その記憶は土に還ってしまったように見えるが
いつの間にかそこから何かが芽吹き 花を咲かせている
かと思えばそれは急に立ち枯れたりもする
或る傾向をもつ記憶だけが育ちすぎぬよう わたしはその周囲を石で囲う
野草のような記憶をポットに移し温存を試みたりもする
しかし望む結果が得られるとは限らない 答えは時間だけが語ってくれる
絵の制作過程での経験は このような庭園での経験によく似ている
土の中で起こっていること あるいははるかな高みにある星や月との関係
自然というものが自分の内面と地続きであるということ
ここには学んでも学びきれない奥深さがある
ガーデン・テーブルに何か一冊置いてあるといい
他者の記憶の産物である書物を開くことも大切だと考える
遠い土地から記憶の種を取り寄せ わたしたちの庭に撒くことにも似たように
しかしその種が発芽しこの土地に適応して育ってくれるかどうかはわからない
答えは時間だけが語ってくれる
words by nakaban
design by Su-
2024年、blackbird books10周年、最後の企画です。
店主が最も尊敬する画家、nakabanさんにお願いしました。
これまでにも何度かnakabanさんの絵を展示しましたがその海とも空とも言えるような深い青色に僕は魅せられてきました。
その青色を見ていると独り夜な夜な絵を描き続ける画家の姿を想像し、僕は強い憧れと共感を覚えるのです。
呉のはずれにある海沿いの小さな町のアトリエには果物の実った庭がありました。
その庭と”他者の記憶の産物”である書物から成る絵が並びます。
芸術の秋、たくさんのご来店をお待ちしております。
初日、作家在廊予定です。
nakaban(画家)
なかばん|1974年広島県生まれ。広島県在住。
旅と記憶を主題に絵を描く。絵画作品を中心に、印刷物の挿絵、絵本、映像作品を発表する傍ら、音楽家のトウヤマタケオと『ランテルナムジカ』を結成し、音楽と幻燈で全国を旅する。’13年には新潮社「とんぼの本」のロゴマークを制作。
主な作品に絵本『よるのむこう』(白泉社)『みずいろのぞう』(ほるぷ出版)『ないた赤おに』(浜田廣介作/集英社)『フランドン農学校の豚』(宮沢賢治作/ミキハウス) など。
blackbird books 10周年記念
nakaban 個展
『記憶の庭園学』
2024.11/9(土)- 12/1(日)
10:00 – 19:00
11/11,18,19,25 休 11/13 17時閉店
nakabanさんの庭とアトリエ
イチジクを山ほど育てていた。そのイチジクとチョコレートと珈琲をいただいた。
今度は友人を誘って泊まりに行きたい。
2021.01.30展示
2020年10月の発売以来、多くの方に手に取って頂いている『読むことの風 / アサノタカオ』の装画を手がけているnakabanさんの原画展です。
nakabanさんの絵は毎年一度は飾らせてもらっている気がしますが(それだけ本に深く関わってらっしゃいます)、今回は店主も個人的に大好きなコップの絵が並びます。
本も絵もとてもいい風が流れていて、店内も素晴らしい空気になると思います。
”「旅と読書は、「本当に大切なこと」を、さびしさに震えるきみに教える」。サウダージ・ブックスの編集人であるアサノタカオさんが書籍や雑誌、リトルプレス、ウェブマガジンに寄稿したエッセイ、コラム、旅のノートに記したことばを集成した『読むことの風』。ひとりになって自分自身を見つめ直す時間のなかで、世界や他者につながることの意味を問いかける随筆集です。本書の刊行を記念し、装画・本文イラストに使用した画家 nakaban さんの「コップの絵」などの原画を展示します。”(サウダージ・ブックス)
【著者紹介】
アサノタカオ
1975年生まれ。編集者。大学卒業後、2000年からブラジルに滞在し、日系移民の人類学的調査に従事。2009年よりサウダージ・ブックスの編集人をつとめるかたわら、現在は新泉社・野草で詩人・山尾三省の本などの企画編集を担当している。
nakaban(なかばん)
画家。広島市在住。絵画、書籍の装画、文章、絵本を発表している。主な著作に絵本『よるのむこう』(白泉社)、『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)、『ランベルマイユコーヒー店』(オクノ修作との共著、ミシマ社) など。
2020.05.17展示
山尾三省詩集『新版 びろう葉帽子の下で』(野草社)の刊行を記念し、『詩人・山尾三省展~詩集・原稿・写真、そして画家nakabanの装画』を開催致します。
詩あるいは歌は、絶望に耐える希望あるいは祈りとして太古以来つくられ続けてきた——。
このような思想のもと、日常の中で非日常的な時をつづった詩人・山尾三省(1938~2001年)の代表作が『びろう葉帽子の下で』(1987年刊)です。
「歌のまこと」「地霊」「水が流れている」「縄文の火」「びろう葉帽子の下で」と題された、全5部247篇を集成した詩集の新版を、このたび文化人類学者・批評家の今福龍太さんの序を収録し刊行。
本書出版を記念して、山尾三省の詩集をはじめとする全著作および直筆原稿、アメリカの詩人ゲーリー・スナイダー氏との対談時に写真家・高野建三さんが撮影した写真などを展示します。詩人の生誕80年記念出版として刊行された詩文集『火を焚きなさい』『五月の風』、そして詩集『新版 びろう葉帽子の下で』の装画を担当した画家nakabanさんの作品原画も展示します。
『火を焚きなさい』『五月の風』は既にblackbird booksではロングセラーになっています。
これまで山尾三省の詩に親しんで来られた方はもちろん、これらの詩集で新しく山尾三省の世界に触れた方もまた深くその言葉に出会える機会かと思います。
このような状況ですので、展示内容を縮小し、トークイベントの予定もキャンセルとしました。
日常の中に詩や歌が必要だと感じている方はそっと観にいらしてください。
2019.03.13展示
blackbird booksでは4/3(水)~4/21(日)の期間、2019年1月に刊行された『ことばの生まれる景色 辻山良雄 文 nakaban 絵』の原画展を開催致します。
nakabanさんの原画展は2018年春の『窓から見える 世界の風』に続き2度目となります。
またあの青色を飾れることがとても嬉しいです。
展示にあたり「ことばの生まれる景色」オリジナルしおりを配布、そしてnakabanさんが今回巡回するお店をイメージし制作したスタンプを設置致します。
しおりにスタンプを押してお持ち帰りください。
また、4/16(火)には著者である本屋「Title」店主辻山良雄さんと当店店主吉川のトークイベントを開きます。
たくさんのご来店をお待ちしております。
『ことばの生まれる景色』
荻窪の本屋「Title」店主・辻山良雄が、一冊の本とそれを端的に表していると思った一節を選び、画家のnakabanがそこからイメージを膨らませた絵を描く。
絵と文で本を旅する四十景。
本の紹介だけではなく、辻山さんの体験や記憶も織り込まれ、確かな読書の温もりが感じられる素晴らしい一冊です。
詳細はこちら。
トークイベント「絵と文で本を旅する四十景 〜本屋の店主対談・大阪編〜」
辻山良雄(Title店主)×吉川祥一郎(blackbird books店主)
4/16(火)19:00~20:30
参加費:1500円 定員:25名様
ご予約はblackbird books店頭、お電話(06-7173-9286)、メール(info@blackbirdbooks)にて承ります。
お名前、人数をお知らせください。
お互いのお店のことと、本書についてお話します。
辻山良雄(つじやま・よしお)
1972年兵庫県生まれ。書店「リブロ」勤務を経て、2016年1月、東京・荻窪に本屋と
カフェとギャラリーの店「Title」をオープン。新聞や雑誌などでの書評、カフェや美術館の
ブックセレクションも手掛ける。
著書に『本屋、はじめました』(苦楽堂)、『365日のほん』(河出書房新社)がある。
nakaban(なかばん)
1974年広島県生まれ。画家。旅と記憶を主題に絵を描く。絵画作品を中心に、イラストレーション、
絵本、文書、映像作品を発表する。
新潮社『とんぼの本』や本書の著者・辻山良雄氏の本屋「Title」のロゴマークを制作。
主な著書は書籍『窓から見える世界の風』(福島あずさ著/創元社)、絵本『よるのむこう』(白泉社)
『ぼくとたいようのふね』(BL出版)など。
2019.03.12ブログ
辻山さんに初めてお会いした時、山のような人だと思った。
岩肌の見える先の尖った険しい山ではなく、学校の校庭やショッピングセンターの屋上、または新幹線の車窓から見えるような町を囲む緑の深い静かな山だ。
言葉を交わすとじっとこちらの目を見つめ、動かずにずっとこちらの声を待っている。
実際に辻山さんは身体が大きく、また学生時代登山サークルに所属していて、今も山に登るのが趣味らしい。
この本では星野道夫、須賀敦子、谷川俊太郎、ガルシア・マルケス、サリンジャー、カフカ、村上春樹、宮沢賢治、武田百合子、庄野潤三、ミヒャエル・エンデなど読書好きであれば思わず手が伸びる作家の本が紹介され、その作家の入口としても比較的読みやすい本が掲載されているが、もう一つの読みどころとして辻山さんの個人的な体験がことばを生み出していることで、そのことばは僕らの内面にあるものと地続きであったり、そのことばを今求めていたのだ、と思わせてくれる不思議な魅力が溢れていることだ。
石牟礼道子を読んで水俣に向かい、東日本大震災以後、柳田国男や宮沢賢治を思い浮かべ「東北」の山を訪ね歩く。少年時代の記憶や学生時代の話は今村夏子と村上春樹に結びつき、コルビュジェの「小さな家」を自身の実家と重ね合わせ、岸政彦の書く大阪を歩き地元の銭湯に入る。辻山さんの個人的な体験を通してしか生まれないことばが作家たちの物語と交差していく。その交差点で立ち上がる景色は確かに僕らがどこかで見た景色だ。
辻山さんの書店「Title」は荻窪の街の中に溶け込み(うっかりすると通り過ぎてしまう)、中へ入ると森のように静かで、本は呼吸をするように並べてあった。
本屋が山のように風景と一体となっている街で僕は安らぎと憧れを覚えた。
車を運転していて知らない街に入ったとき、ガラス越しに山を見て方角や自分の居場所を確認することがある。
その山は緑に覆われ、静かに街を見下ろしている。
※辻山さんをお迎えするトークイベントを4/17(火)に開催します。ご予約受付中。
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