本とわたしを離さないで

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2022.08.17

2022.9/7-9/25 鈴木萌展「SOKOHI 底翳」

©︎chose commune

アルル国際写真祭ダミーブック賞(LUMA Recontres Dummy Book Award Arles)2021受賞、カッセルダミーアワード(Kassel Dummy Award) 2020特別賞受賞を受け、今年の7月にパリのchose communeから出版された鈴木萌の写真集「SOKOHI 底翳」

本作の発表を記念した展覧会を開催します。写真集は発売後間もないですが、非常に好評です。国内での数少ない展示の機会です。是非お立ち寄りくださいませ。

作品ステートメント:

「底翳」(そこひ)とは、底にある翳、眼球内に潜む翳、つまり何らかの眼内部の異常により視覚障害をきたす目の疾患の俗称として江戸時代から使われてきた。そのうち、緑内障にあたる言葉は「青底翳」(あおそこひ)と呼ばれた。末期には角膜が地中海のように青緑色のようになり失明するという、ヒポクラテスの記述に語源があるとの一説もある。そうした長い歴史にも関わらず、現代の視覚障害の一番多い原因疾患である緑内障の病態は、その原因や治療法にいたるまでいまだ完全な解明がされていない。16年前に緑内障の診断を受けた父の場合も、点眼薬や手術による眼圧のコントロールの甲斐無く、視野狭窄がゆっくりと、そして確実に進行している。昨日よりも少し暗い朝に起き、物を取ろうとする手は宙を泳ぐ。
父はかつて、ありとあらゆるものをノートに書き留める人だった。旅先で写真もたくさん撮った。30年以上にもわたる編集者としてのキャリアは、常に膨大な本と文字に囲まれていた。そんなかつての生き方とは裏腹に、緑内障により少しずつ視力を失いつつある今は、書くことも読むことももはやその意味をなさなくなってしまった。
視野が狭くなっていく自分の境地を、静かに淡々と受け入れているかのように見える父はその一方で、差し込んでくる光を離すまい、失うまい、と必死で病の進行に抗う一面をふとした瞬間に外に出すことがある。だが自分の周囲に壁をしっかりと築き、父が見えないものが見えて、父が見ているものを同じようには見ることができない他者からは単なる同情や共感を簡単には寄せつけない。
その壁の隙間からそっと覗くと、そこには、底に潜む翳の淵を時には頼りなく、しかし時には新しい認知を求める確かな足どりで、出たり入ったりする父の姿が見え隠れする。父の失明への旅は、まるで翳と光の間を行ったり来たりする波のように進んでいる。

鈴木萌 

東京都出身。London College of Communications, University of the Arts London卒業。2011年日本への帰国を機に製本技術を取得し、ヴィジュアルアーティストとしての活動を開始する。写真/アーカイブ/イラスト/製本技法/インスタレーションを織り交ぜながら、障害や共同体の歴史、環境汚染、開発などにより変化する記憶や認知に関するナラティブを表現している。2020年に発表した作品「底翳(SOKOHI)」は東京のReminders Photography Stronghold を皮切りに、北アイルランド、シンガポール、京都、オーストラリアなどで展示された。同時に自主出版されたアーティストブック「底翳」はフランスのLuma Rencontres Dummy Book Award 2021などを受賞し、2022年にフランスの出版社より普及版が出版されたばかり。

 

©︎Moe Suzuki

 

2022.05.25

2022.6/15-7/3 青葱を切る

ひかりをつんで

あつめていた

それははじまりと終わりの

どちらでもない瞬間

永遠

なんてわからないけど

こういうことかなあ

と言って

光る果汁を

サラダに振りこぼして笑っていた

あのひとは

あの夏のすがたのままで

そしてわたしはひかりをつんで

あつめていた

いつかあのひとに

会えるような気がしていた

(ひかりをつんで)

 

『青葱を切る / 藤本徹』(新版)の発行を記念し、詩と絵の「青葱を切る」展を開催します。

詩「青葱を切る」と西淑さんによる装画の原画を展示。

また、6月18日(土)にはblackbird booksでは約5年ぶりとなる藤本さんの朗読会を開きます。

(→満席となりました)

お陰様で4月の発行後、多くの書店にて取扱い頂いていることもあり、反響が続いています。

藤本徹の詩の世界を体験出来るものにしたいと思っています。

是非観にいらして下さい。

 

「青葱を切る」朗読会

満席となりましたので受付終了致します。

6月18日(土)19時ー20時

参加費1000円

定員10名様(感染対策のため少人数での開催となります。ご了承ください)

定員になり次第受付終了となります。

ご予約はこちらから。

info@blackbirdbooks.jp

06-7173-9286

(お名前、人数をお知らせください)

 

 

 

 

 

2022.05.05

5.24tue – 6.12sun マメイケダ展 ー通りすがりー

大体通りすがりというか

思わぬところで描きたくなるような風景が

目の前に現れる

最近は石だの階段だのが描きたくなることが多い

(マメイケダ)

 

これまでblackbird booksではマメイケダさんの風景画に焦点を当て展示を開催して参りました。

今回も近年の風景画をまとめて展示致します。

また今回も展示に合わせ風景画の私家版作品集「ふうけい3」を発行。

どうぞお楽しみに。

 

マメイケダ

1992年島根県出雲市に生まれた。大阪に在住。

食べたものや見たものをよく描いている。

高卒後、惣菜調理の仕事に勤めるが、2013年秋に退職して絵を描きに大阪に引っ越す。作品集に『味がある。』(誠光社)『ふうけい』『ふうけい2』(共にiTohen press)などがある。著書に絵本『おなかがへった』(WAVE出版)がある。

2016年HBファイルコンペ仲條正義賞を受賞。

書籍の装画などのイラストレーションや展覧会での発表などを中心に活動。

好きな食べ物は卵。

2022.04.17

2022.5.3-5.15 小原晩「ここで唐揚げ弁当は食べんほうがいいで」

※会期が変更となりました。

5月3日(火)〜5月15日(日)となっております。

※GW期間中は引き続きマスクの着用、入店時の消毒、少人数でのご来店など感染対策のご協力をお願い致します。混み合った場合は入店を規制する場合がございます。

 

初めて読んだ時、楽しいことばかりではないのに(寧ろ辛いことが多いのに)この本を貫いている明るさは何なのだろうと考えた。

店に遊びに来る彼女に会うたびにあの明るさはこの人の天性のものなのだろうと思った。光が文章に滲んでいるのだ。

彼女に伝えると辛かったことをエモーショナルに書くよりも面白く読んでもらえるように意識したとのことだったがそれも含めて彼女とこの本の良さだと思う。

 

発売後瞬く間に反響を呼び、現在も快進撃を続ける歌人・文筆家の小原晩による「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」。

blackbird booksでは小原晩の「ここで唐揚げ弁当は食べないでください」にまつわる展示を開催します。

装画を手がけた佐治みづきさんの原画をはじめ、表題作の四コマ漫画バージョン、関西弁バージョン、書き下ろしエッセイ、小原晩の年表に見立てた連作短歌30首の展示、そしてオリジナルグッズを販売予定です。

色々と大変な世の中だけれど、来てくれた人が少しでも元気を貰えるような展示になればと思っています。

店主

 

「はじめましての方が多いと思います。小原晩と申します。『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』を刊行してから「唐揚げの子?」と聞かれることが増えました。とても嬉しいです。実は本の内容自体は唐揚げ唐揚げしていません。確かめにいらしてください。確かめ済みの方も楽しめる展示にしています。みんないらしてください。わかっているとは思いますが、blackbird booksさんで唐揚げ弁当は食べんほうがいいで!」

小原晩

 

小原晩

1996年東京生まれ。作家。歌人。

佐治みづき

絵描き

1994年生まれ 東京都在住
2017年 多摩美術大学美術学部 グラフィックデザイン学科 卒業

 

2022.03.23

4月9日(sat)〜24日(sun) 内田紗世個展 まばたき

2021年に写真集「まばたき」を発表した東京を拠点に活動する写真家内田紗世の個展を開催します。

個展に合わせ、写真と並行して執筆しているエッセイ「家族」シリーズの3冊目、「家族3」を先行販売致します。

 

”2020年、コロナ禍で外出を制限されるといつもの風景が彩度を増して見えてきた。私はそれを写真に撮った。シャッターを切ることとまばたきは似ていて1枚1枚が自分の網膜に記憶された確かにそこにあったもの。

本展示では「まばたき」に掲載の写真と「家族」から水内美歌子氏(PAPIER LABO.)によるグラフィックを展示。”

 

内田紗世

2020年夏よりポートレートの撮影を始め、Instagram上で発表を続ける。2021年1月エッセイ集「家族」、5月写真集「まばたき」を発売。

@uchidasayo_photo