本とわたしを離さないで

本のこと、お店のこと、日々のこと

2021.02.24展示

3/10(wed)-3/28(sun) フジモトマサル傑作パネル展 『フジモトマサル傑作集』(青幻舎)刊行記念

 

 

フジモトマサル(1968−2015)のマンガ、エッセイの選りすぐりを集成した初のベスト版『フジモトマサル傑作集』。その刊行を記念して、傑作パネル展を開催いたします。

未発表マンガ「こどものころにきいたはなし」、「バク博士の発明品リスト」その①、その②、その③、名久井直子制作のzineにのみ発表された「恐ろしい夢を見た」など貴重なマンガを展示します(全てデータ出力原稿)。本書にも未収録の作品ですので、お見逃しなく!

フジモト印の貴重なハンコ(2種類)も会場に。自由に押してもらえたらうれしいです。

 

また、『フジモトマサル傑作集』をお買い上げの方に、本書の刷り出し(すりだし)を1枚、プレゼント。

「刷り出し」とは、本番の印刷の、製本前の状態のもので、複数のページが大きな1枚に収まっているものです。

ここだけの特典ですのでお楽しみに。(数に限りがございます)

名久井直子(本書の監修&デザイン)と福永信(本書の企画・選・構成)による、全作解説ペーパーも、会場で無料配布しています!

なお、さらに今回、画家マメイケダさんに本書の感想を、絵と文で、かきおろしていただきました。

会場にちょこっと展示しています。

これまた、blackbird booksでしか見られないので、是非観にいらしてください。

 

フジモトマサル傑作パネル展 『フジモトマサル傑作集』(青幻舎)刊行記念

3/10(wed)-3/28(sun)

10:00~19:00 月曜定休

協力:名久井直子

フジモトマサル

マンガ家。イラストレーター。主な作品に、もう一人のフジモト先生ここにあり!児童漫画の大傑作『こぐまのガドガド』、本当のペンギン村がここにある!『スコットくん』、著者畢生のSF大作!『夢みごこち』、ずっと聞いてたい…羊のドリーの純度100パーセントのひとりごと!『ウール100%』、素敵な続編のタイトル!『ウール101%』、そのまた続編で元に戻ります!『ウール100% ドリーの日記』(本書に全編収録)、仕事をサボってむさぼり読みたい大傑作!『二週間の休暇』、実は4コマ漫画の才能もスゴかった!『かわうそ天然気分』、初期のペンタッチもすごくいい!『長めのいい部屋』、彼にしかできない! 随筆と漫画のハイブリッド『終電車ならとっくに行ってしまった』、いつでも来てほしい!『おおかみが来るぞ』(本書に全編収録)、フジモト博士の終わらぬ夢の奇妙な世界!『アナグマ博士の睡眠研究所』(本書に全編収録)、最晩年の傑作随筆『回想の再読』(本書に全編収録)、回文家としても著名だった!『ダンスがすんだ 猫の恋が終わるとき』、実はなぞなぞ作家でもあったのだ!『今日はなぞなぞの日』など多数。世界の全部を一挙につかむ、独自の動物目線とユーモアで多くの読者を魅了した。

2021.01.30展示

2/17(wed)-3/7(sun) アサノタカオ随筆集『読むことの風』刊行記念 nakaban装画展

2020年10月の発売以来、多くの方に手に取って頂いている『読むことの風 / アサノタカオ』の装画を手がけているnakabanさんの原画展です。

nakabanさんの絵は毎年一度は飾らせてもらっている気がしますが(それだけ本に深く関わってらっしゃいます)、今回は店主も個人的に大好きなコップの絵が並びます。

本も絵もとてもいい風が流れていて、店内も素晴らしい空気になると思います。

 

”「旅と読書は、「本当に大切なこと」を、さびしさに震えるきみに教える」。サウダージ・ブックスの編集人であるアサノタカオさんが書籍や雑誌、リトルプレス、ウェブマガジンに寄稿したエッセイ、コラム、旅のノートに記したことばを集成した『読むことの風』。ひとりになって自分自身を見つめ直す時間のなかで、世界や他者につながることの意味を問いかける随筆集です。本書の刊行を記念し、装画・本文イラストに使用した画家 nakaban さんの「コップの絵」などの原画を展示します。”(サウダージ・ブックス)

 

【著者紹介】
アサノタカオ
1975年生まれ。編集者。大学卒業後、2000年からブラジルに滞在し、日系移民の人類学的調査に従事。2009年よりサウダージ・ブックスの編集人をつとめるかたわら、現在は新泉社・野草で詩人・山尾三省の本などの企画編集を担当している。

nakaban(なかばん)
画家。広島市在住。絵画、書籍の装画、文章、絵本を発表している。主な著作に絵本『よるのむこう』(白泉社)、『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)、『ランベルマイユコーヒー店』(オクノ修作との共著、ミシマ社) など。

 

 

2021.01.23ブログ

自分に向けられた言葉 「仮定の質問には答えない」ことについて

「仮定の質問には答えない」と話す首相の言葉に首を傾げ続けている。

彼は誰に向かって喋っているのだろうと考えていた。

記者に対して答えているのに違いないだろうけれど、次第に彼は自分に対して言っているのではないかと考えるようになった。

彼は自分に向かって「仮定の質問には答えない、答えたくない、答えられない、考えたくない」と呪いをかけ続けているのではないか。

言うまでもないけれど、国民の生活を守るためには仮定の問を考えなければ政治家は務まらない。

そういう意味で、彼は失格だ。

 

昨年末にこんなことがあった。

二ヶ月に一度位のペースで通い続けているお客さんがレジに山ほど本を抱えてやって来た。

こんなにたくさんありがとうございます、と言うと「今年は頑張ったから、自分にご褒美」と笑って、「みんな頑張ったよね」と僕にでも誰にでもなく自分に言い聞かせるように呟いた。

同じ日だったと思う。お世話になっている編集者の方があるデザイナーを連れてやってきた。お互い名前は知ってはいたけれど僕らは初対面だった。

彼も気を使ってくれたのか、たくさんの本を買ってくれた。

帰り際に「来年は良い年にしましょう」と周りに聞こえるほど元気な声で挨拶をしてドアを開けて出ていった。それは僕への挨拶でもあり、何より自分を励ましているように聞こえた。

声に出して自分に向かってかける言葉は力強い。それは声に出さずにはいられないほど切実な状況だからだ。

 

為政者と国民がそれぞれに自分に向かって投げる言葉の果てしない隔たり。

その距離をどんな言葉で埋めれば良いのだろう。

国民に声をかけ、国民の声を聞く立場の人間が、自分の殻に閉じこもっているようではどうしようもない。

自分を奮い立たせるための声がお互いに全く響かない。届かない。

僕は二人のお客さんから聞いた言葉をここで吐き出さずにはいられなかった。言葉は生き物だから、いつも居場所を求めている。

そんな祈りのような言葉が堆積し、届くべき人に届くことを願うばかりだ。

 

 

 

 

2020.12.18展示

2021.1.20-2.7 『芸術家たち2 ミッドセンチュリーの偉人編』SANDER STUDIO原画展

河内タカ『芸術家たち2 ミッドセンチュリーの偉人編』の発売を記念し、本書のイラストを手がけているSANDER STUDIOの原画展を開催致します。

ロングセラーになっている『芸術家たち1 建築とデザインの巨匠編』発売時には当店にタカさんをお招きしてBAUHAUSについてお話して頂きました。

今回は本書をはじめ、&Premiumのタカさんとのタッグでもお馴染み、SANDER STUDIOさんの原画展です。

ミッドセンチュリー=戦後のアメリカ西海岸から始まりアメリカ黄金期を彩った建築、家具、それらを手がけたデザイナーたち。

本書では27組の芸術家たちをタカさんの博学と軽快な語り口で楽しむことが出来、展示ではSANDERさんによるフローレンス・ノル、ハリー・ベルトイア。ジョージ・ナカシマ、ジョージア・オキーフ、リチャード・ノイトラ、ソール・バス、アレキサンダー・カルダー、そしてデビッド・ホックニーら20組の原画をご覧いただけます。

作品はすべて販売致しますので、この機会をどうぞお見逃しなく。

 

 

 

2020.12.16ブログ

『海をあげる / 上間陽子』(筑摩書房)

身体と心に響く文章とはどういうものだろうと考える。
文章が上手いだけでは伝わらない。
上手い言い回しや比喩ではない。
何か強烈な体験をして、それを赤裸々に語ればいい、ということでもない。
正直に、ゆっくりと語られる言葉が人の心を打つ。

読書とはどういうものだろうと考える。
本は何度でも開くことが出来る。
本を開き読むたびに「最初に戻る」、という感覚がある。
その本に書かれた声を最初に戻って何度でも聞き取ろうとする。

僕は辺野古の海を見たことがない。
その青さを知らない。
辺野古の海に土砂が投入されていることを情報でしか知らない。
かつてそこで戦争があったことを知識でしか知らない。
僕は沖縄のことを何も知らない。
この情報や知識は僕の中に蓄積されているが外に出さなければ何の役にも立たない。

この本を読んでいる間、ずっとそんなことを考えていた。

言葉を失ったあとに、娘と伴にまた絞り出すようにゆっくりと言葉を紡いできたこの本は、海のように深く、重い。
それでも、何度も読み返さなければならない。
その声が身体中に広がるまで。やがて僕の声になるまで。
僕の娘たちのために。