2023.05.28ブログ
2023.5.28
お客さんがいる時はこんな小さな店にわざわざ足を運んでくれて本当にありがとうという気持ちになる。
誰も来ない時はああ何やってるんだ俺は、もうこんな商売やめてしまおう、何で誰も来ないのだ、と荒んだ気持ちになる。
振り子のように揺れる感情で毎日を過ごしている。その内糸が切れてどこかへ飛んでいってしまいそうだ。そうなると、どこまで転がっていくのか。それは元に戻ることが出来るのか。
2023.5.24
一日店に閉じこもっていると、世界は広いんだということを忘れがち。
普段意識しているかと言えばそういう訳でもないんだけど。
SNSに海外の動画や絶景なんかが流れてくるとわしはこんなところに座って何しとるんじゃいとなる。
ふと目を上げると書物が大量に棚に突っ込まれており、そこにもまた世界が広がっている。
もっと本を読みなさい。時間は限られている。
2023.5.5
GWは初めてのお客さんがたくさんいらっしゃって、今まで動かなかった本が売れていく。
嬉しい。
嬉しがっていたら能登地方で震度6の地震。
被害がないことを祈る。
地震の速報が流れる度に原発に異常は見られませんという速報。
これだけ地震の多い国で未だに原発が稼働され続けている異常。
異常な社会、異常な政治、異常な国。
2023.4.22
次女の誕生日。おめでとう。
高校の頃か、大学の頃か、先生と呼ばれる人たちが、
「卒業したら誰も助けてくれないよ」(だからしっかり勉強しなさい)と連呼していたのをたまに思い出す。
ある意味そうなのだろう。社会は冷たい。ところもある。
でも、そんな教育どうなんだろうね。
「助け合って生きないさい」と教えることは出来なかったのだろうか。
あの時の大人の言葉を思い出すたびに静かに怒りに震える自分がいる。
子どもたちがこれからいい先生に出会えたらいいなと思う。
坂本龍一が亡くなって、喪失感が日増しになって、しばらく何も書くことが出来なかった。
娘が生まれてきたことに感謝したい。
2023.3.15
お久しぶりのお客さんが買取の本を持って来てくださる。
大江健三郎、石川達三、中島らも、岡崎武志らの本を買い取る。
友人が鯛焼きを手に持ってやって来る。
お客さんが引いた時を見計らって頭から齧り付いた。
長女が11歳になった。
2023.3.10
今はもう存在しない書店の本棚やレコード屋の棚を思い出すことがある。
本やレコードではなく、それらが陳列されていた棚。それらを含むお店の匂い。
時々小さな自分の店をうろうろしている時、ふいに思い出す。
どこかで繋がっているのだろうか。
今日は驚くほど人が来なかった。
2023.3.9
朝から買取が続く。
春は買取の季節。
店の前の工事のせいか、春の陽気のせいか、視界がずっと白く煙っていた。
店もお掃除をしたい。
2023.3.2
常連さんと府知事選の話。
別の常連さんと豊中市の図書館が削減される話。
買い取った本に1968年の領収書。
2023.2.22
抱っこ紐のお母さんが来店。
それ自体は珍しくもないのだが、彼女は一時間ほど店に居た。
大抵の子連れの親は絵本の棚を見たり、あるいは目当ての本を探して10−15分ほどの滞在で店を後にする。
彼女は店の棚を隅から隅までじっくりと見ていた。抱っこされている子は眠るでもなく、泣くでもなく、ずっと揺られながら母親と同じように本を見ていた。
彼女はじっくり吟味して三冊の本を買っていた。
子どもが寝静まっている束の間、その本を読む時間が幸福であることを願ってやまない。
2023.2.19
トルコとシリアの地震にどう向き合えばいいのか分からない。
他人事ではないのに、自分事のように引き寄せて考えるのが難しい。
距離のせいなのか、考えることを拒否しているのか。
何をどう行動に移せば良いのか分からない。
地球全体が宙に浮かぶ脆い球体に思えて来て、不安が拭えない。
足元が覚束ない場所で息をしている。
2023.2.10
母の誕生日。七十になったらしい。
夕方におめでとうとLINEをしたがその日は返事がなく、翌朝にありがとうと届いた。
昨日はテニスに行ってきたと言う。整形外科に膝やら何やらを何度も診てもらいながらずっと続けている。
長生きして欲しいが母の家系は皆短命なので心配。
家系とか遺伝とかやっぱり関係あるのだろうか。
2023.2.8
昼間に小原晩さんがお土産のビールを持ってやってくる。
凄く美味しいんですよ、と聞いていたミッケラーの缶ビール。
夕方から京都へ向かう。
大切なお客様であり人生の大先輩と食事。西中島南方で阪急に乗り換え、大宮で待ち合わせ。
喧騒から離れ、予約をしてくれていた住宅街にある小料理屋へ向かう。
L字のカウンターと奥に小上がりがある小さな店。
金髪に安全ピンを耳に刺した若い料理人が一人で切り盛りしていた。
仕事のこと、子どもの結婚のこと、本のこと、音楽のことを語り合う。
生きていくこと、死んでしまうこと、についても話した。
苦労もしたけど今は楽しいと仰っていた。
白子の天ぷらが美味しかった。晴耕雨読という鹿児島の芋焼酎を呑んだ。
また行きましょうと握手をして別れた。
2023.2.8
お店をやっていて嬉しいことの一つは古い友人が訪ねて来てくれること。
10年ぶり、20年ぶり、なんてのも珍しくない。
SNSがなければそういうこともなかっただろうか。
2023.2.2
午前中に兵庫県立美術館へ李禹煥を観に行き、そのままお店を開けようかと思っていたが休みにする。
お店を開けてもうすぐ九年。今までは休むことが恐怖に近かったが今は休みたい時は休まないと危ないと思っている。
李禹煥を観て、それから万博方面に戻り、映画スラムダンクを観る。どちらも打ちのめされるほど素晴らしかった。スラムダンクは観ることを敬遠していたけれど、行ってよかった。
「余白」についてずっと考えている。
帰宅し即席の味噌ラーメンにバターを入れて食べる。夕食用に味噌汁と豚の生姜焼きを仕込む。
長女が学校から帰って来て、ダンス教室へ送る。(彼女は帰宅してから外出するまでの僅かな時間にスプラトゥーンをやっていた)
妻は4回目のワクチンを打ってきた。
みんな生姜焼きが美味しかったと言ってくれた。
タレに初めて蜂蜜を入れてみた。
2023.1.28
目覚めるとまた雪が積もっている。
それにしても都市部では雪が数cm積もっただけで慌ただしくなる。
電車は停まり、近所では車が滑って衝突している。
念の為車で出るのを避けて、妻は次女を保育園へ送って、それからモノレールで一足先に店へ。
僕はある程度の家事を済ませてから長女と家を出る。
雪が溶けて来ていたので迷ったが子どもが怪我をしては元も子もないと思い、モノレールで行くことにした。
長女は千里中央のダンス教室へ、僕はそれを見送ってそのまま店へ。
久しぶりのお花の日ということで朝から賑わう。
嬉しいのも束の間で、昼過ぎから首がもげるように痛くなる。
腰、背中、肩、首へと龍のように痛みが走り、それは首へ到達するとその日の夜までそこに留まった。
自宅に戻ると雪は跡形もなく溶けていたが、首の痛みは消えない。
次女が「ゆきやこんこ ゆきやこんこ」と繰り返し歌っているのを聴いて痛みが少し和らぐ。
それでもお酒を飲むのも我慢して早々に眠った。
2023.1.24
10年に一度の大寒波ということで、予報通り夕方から雪が降り始める。
冷え込んで来るに連れて客足が遠のく。客どころか誰も歩いていない。
ダンスの習い事をしている長女を迎えに行って、千里中央からモノレールで帰る。
地元の駅に降りると雪景色。
僕は大阪で育ったわけではないので雪が珍しいわけではないが、滅多に積もらない雪が積もって娘は目を丸くしながらはしゃいで帰る。雪の球を握りしめていた。
僕は「滑るよ、転ぶよ」とばかり言っていた。
はしゃいだ娘はニット帽をどこかで落としたことに帰宅後気付き、僕は帰ってきた道を辿るためにまた雪の中へ出た。
2023.1.21
paypayは使えませんかと立て続けに3回言われる。
paypayは使えない。
使えないんよ。
カードは一千円以上からお願いしています。
便利は搾取と同義だろうか。
2023.1.20
細野さんが幸宏さんについてコメントを発表した。
人生を一冊の本に喩えていた。
これだけの本に毎日囲まれいると幸福な時もあれば息苦しく思う時もある。
2023.1.17
28年前の朝はもちろん良く覚えている。15歳になったばかりだった。
僕は間接的にも直接的にも被災した。
いつかこの時のことを上手く書ければと思う。
あれから28年の年月が流れたことに信じ難い気持ちが滲み出してくる。
本のページを捲れば一瞬で時間が飛ぶが、そんなに容易い年月でもない。
28年、色んなことがあった。
2023.1.15
口にすると感情が溢れて涙が流れるように
文章にすることでも同じことがある。
自分は本当は悲しいのだ、と気づくことがる。
高橋幸宏さんが亡くなった。
2023.1.13
家族のために働く
自分のことなんてどうだっていい、そんな日がある。
そんな日が増えてきた。けれどそれを家族は喜ぶだろうか。
音楽家の寺尾紗穂さんが数年ぶりに来店。
近くに来たから寄って下さった。音楽も文章も精力的に活動しておられる。
見習わなくては。
2023.1.12
こんなにもたくさんの本が溢れているのにどうして世の中から戦争や暴力や差別は消えないのか
私たちはどこから来てどこへ行くのか
朝一で小原晩さんがエッセイ書きましたと持ってくる。
2023.1.8
言葉では表せないもの、というものは確かにあると思うが、そこに逃げてはいないか。
言葉と真剣に向き合っているだろうか。
僕は音楽家でも画家でもないのだから。
2023.1.6
新年の始まり。昨夜は少し緊張していたのか上手く眠れなかった。次女が眠りながら鼻を啜っていた。
眠気と緊張感の拭えぬまま店に着く。
掃除機をかけ、窓を拭くと少し汗ばむ。程よく身体も心もほぐれて行く。
豊田道倫さんから詩集が届いていた。
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