tag archives : blackbirdからの手紙
2019.02.03ブログ
今年は暖冬だそうです。
暖かい冬。
だから今年はあまり雪が降らないですね。去年は結構降ったはずです。
雪だるまを作ることが出来なくて残念でしょうか?
それでも、先日通学路の公園にある水道の周りに氷が張っていたことを晩御飯の時に目を輝かせながら話してくれました。
「氷があってな、足でふもうとしたけど、われてしまいそうやから、やめてん。足を乗せたらつるつるするねんで」
僕はもう水たまりに張った氷を見て物珍しそうにする年齢ではないけれど、通学路で氷を見つけた興奮を少しは覚えています。
あなたと同じように氷を見つけたことを親に話したかは覚えていないけれど、足を乗せたり、石を投げて割ったりしたことは記憶にあります。
今では氷を見て興味を示すことはありませんが、あの冷たい感触を覚えているということは、そしてあなたの話に共感出来るということは、
僕の中の純粋はまだ失われていないのではないか、いやでも興味を示していない時点ですっかり大人だなとあなたの話を聞きながらそんなことを考えていました。
そしてもう一つ、あなたはあなたの時間の中を生きているという当たり前の事実に気付かされました。
僕が仕事へ向かう時、あなたは既に小学校にいて、僕はそこで何が起きているのか、あなたが何を考え、誰と話し、何を見ているのか、全く知らない。
いつの間にか、もうほとんど完全に、寝食を共にする時以外の大部分の時間を、僕の手から離れている。
ついさっきまで手を繋ぎ、目の届く範囲で遊んでいたあなたが今では6歳になり(もうすぐ7歳!)、僕の知らない時間を僕の知らない人たちと過ごし、氷を発見し興奮している。
その事実は僕に少しの寂しさと大きな感動を与えてくれています。
僕の知らないあなたの時間が(それを人生と置き換えても良いけれど、少し大げさにも思えます)、いつも驚きと興奮で満たされ、楽しいものになっていることを願わずにはいられません。
2018.10.08ブログ
初めての運動会お疲れ様。
あなたが胸を上下させながら大の字に寝っ転がっているのを見ると、僕は幸せです。
幸せって何でしょうね。
こんな風に僕があなたを見ている毎日の中のほんの少しの時間を、幸福と呼んで言いのだと思います。
僕にとっての幸せという意味です。
今年の夏は地震や台風で色々あったけれど、同じ屋根の下、すやすやと眠れていることに幸福を感じています。
何年か先に僕は「ああ、あの夏も何だかんだ3人で一緒に暮らせて幸せだったな」と思うでしょう。
ふとそういう確信を持ちました。その時に、家族がどうなっているにせよ。
あなたがいつか今のことを幸せだったなと思うかはわかりません。
そう思ってくれたらもちろん嬉しいですが、それ以上に嬉しいのはあなたが今の僕と同じように誰か大切な人が側にいて、その時幸せを感じてくれていることです。
鈍感な僕も最近気づいたのですが、人は一人では幸福にはなれないからです。
子どもでも、夫でも、恋人でも、友人でもいい。
この人といるときが一番幸せ、と言えるような人に出会えることを願っています。
2018.04.11ブログ
小学校入学おめでとう。
でもいきなり言われても何がおめでとうか分からないよね。
入学を自分から目指してきたわけではないし。
小学校に入るくらい大きくなっておめでとうかな。
でもそれならありがとうだな。
ここまで育ってくれてありがとう。
小学校楽しく行けるといいね。
色んな友達がいて色んな先生がいて色んなことがあると思うけど、たくさん勉強してたくさん遊んでください。
もしかしたら行きたくない、なんてこともあるかも知れないけどその時はちゃんと耳を傾けられるようにします。
お父さんは自慢じゃなけれど、3つの小学校に行っていました。
それぞれの場所で色んな思い出があります。
先生に怒られたこととかは良く覚えているけれど、正直学校での出来事はほとんど覚えていません。
それよりも校庭のどこに鉄棒があったとか、どこに桜の木があったとか、友達との帰り道にカエルを山ほど捕まえたこととか、
帰り道の空の色とか、寄り道して帰り道がわからなくなって不安になったこととか、友達の靴がカッコよかったとか、
遊んでクタクタになって帰ったらお母さんが美味しいご飯を作ってくれていたとか、そんなことは覚えています。
それと好きだった人のことは覚えています。
だから、もしかすると本当に大切なことは学校の中にはないのかも知れない。
でも、それがあなたにとってもそうかと言えばそうではないかも知れない。
何が心に残るのかなんて誰にもわからないから。
あまり偉そうには言えなけれど、どうか型にはまらず楽しんでくれたらいいなと思っています。
学校で学ぶこととそれは矛盾しているのかも知れない。
でもその矛盾を乗り越えられるようにお母さんとお父さんはいるのかも知れない。
何だかおかしな話だけれど。
とにかく仲の良い友達と好きな人が出来たらいいね。
算数は苦手なので聞かないでください。
2017.09.01ブログ
昨夜、家に帰ったらあなたは興奮しながら手紙を書いたので見て欲しいと走り寄ってきました。
それはお母さんの大切な友人であり、あなたも大好きな友人へ宛てた手紙でした。
それは「今度保育所に来て欲しい。そして一緒に帰ってご飯を食べに行こう」という内容でした。
彼女につらい出来事があり、お母さんが贈り物をすることを聞いてあなたは手紙を書く事を思い立ったのでしょう。
僕が「どうしてご飯を一緒に食べたいの?」と聞くと
あなたは「寂しくない?とか聞くよりも一緒にご飯食べようと誘った方が喜んでくれるかな、と思って」とすっと答えました。
僕はその答えに驚き、喜び、何だか嬉しくなりました。
彼女はきっと喜んでくれると思います。
もちろんお母さんも。
僕は今、あなたのその優しさがどこから生まれたのか考えていました。
お母さんのことを見て学んだのか、それとも生まれた時から持っているものなのか。
人を憂うと書いて優しさだからあなたはちゃんと彼女のことを、彼女の悲しみを考えていたのですね。
いづれにせよ僕はぶっきらぼうで鈍感な人間なのであなたのような思いやりをちゃんと持たなくてはと思いました。
あなたの成長が僕の成長にも繋がっています。
ありがとう。
2017.08.15ブログ
真夏の昨日、陽が沈んで、真っ黒に日焼けしたあなたとお姫さまごっこをした時にね、(僕はもちろん王子様)
「踊りましょう」とあなたが言ったんだよ。
僕は疲れてたけどあなたが満足するまで二人で手を取り合って踊ったよ。畳の上で。
あなたは真剣で、一切笑わずに、お姫様になりきっていて、汗を流しながら踊っていたよ。
僕はそれを見ていたら、疲れが吹っ飛んだよ。
それからね、売上がいいと悪いとか、じいちゃんはそろそろ逝ってしまうなとか、夏は電気代かさむなとか、
誰のための政治やねんとか、税金返せとか、読んでいない本がどんどん溜まっていくなとか、観たい映画があるなとか、
あなたとフェスに行きたいなとか、あの本仕入れるかどうしようかなとか、
そんなこと全部どうでもよくなってしまったよ。
ただただあなたを可愛い人だなあと思い、生まれてきてくれてありがとう、と思ったよ。
40近くなっても夏の夜は切なくなるんだなと思ったよ。
踊る姿をちゃんと目に焼き付けておこうと思ったよ。
今しか見られないからね。
来年の夏は初めての夏休みですね。
頑張って遊ぶ時間作ります。
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