本とわたしを離さないで

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2017.04.05ブログ

blackbirdからの手紙 2 2017.4.5

春です。

保育所での最後の一年が始まりましたね。

この前入園したばかりだと思っていたのに。

一年は僕にとってあっという間ですが、あなたにとって一年どころか一日はとても長い冒険のように感じられるのではないでしょうか。

家に帰って、今日は何があったと聞くのがとても楽しみです。

たとえそれがほんの些細なことでもあなたにとっては冒険の一部であり、一大事と思われることなので釣られて僕も興奮します。

最近はひざを擦りむいて血が出た、という話をよく聞きます。

興奮しながらズボンの裾を捲くりあげて絆創膏の付いた膝をどうだ、と言わんばかりに見せつけられています。

 

マンションの前にある大きな公園のモノレール側の土手にユキヤナギが咲いています。

いく本もの枝に白い小さな花が無数に付いているものです。

この家に越してきてすぐの春にこの花を見つけたので、この白い花が僕にとって春の合図です。

夜にも白く浮かび上がるのがとても綺麗です。

ユキヤナギを表紙にしたとてもこじんまりした植物図鑑があります。

花や木、植物の名前を知っていると毎日が少しだけ楽しくなります。

一度その名前、姿、形を覚えると例えば散歩道、通学路、バスからの風景の中で、あ、あそこにもここにも咲いていると気付きます。

それはきっと楽しいことです。

本は、人生を楽しむための一つの道具です。

だから本はいつでも買ってあげますよ。

お菓子は出来るだけ我慢してください。

92257360

 

 

 

2016.08.25ブログ

トークイベント「本をつくるひと」を終えて

移転後初のトークイベント「本をつくるひと LOCKET :内田洋介 ✕ 微花:石躍凌摩、西田有輝」が無事終わった。

とても熱の篭った空間になった。

「なぜ本をつくるのか?」という難しい問いに、登壇した3人が真摯に向き合って頂いたからだと思う。

まだ熱が冷めず余韻が店に漂っていて全体を捉えきれず上手くまとめられないのだが幾つかの場面を反芻出来るうちに書いておきたい。

「なぜ本をつくるのか? (なぜ本いう媒体を選び販売するのか?)」 「本の魅力は?」という問いに

3人は自分自身と向き合うように手探りで言葉を自分の中から抜き取るようにして答えて頂いた。

そして出てきたキーワードは「わからないから」 「知らないから」だったと思う。

「花や植物のことをまだ何も知らない」

「旅に出るたびに自分が何も知らないことを思い知る」

本をつくるのが楽しい、買ってもらって大事にして貰うのが嬉しい、いいものがないから自分で作る、風景や言葉を共有出来る、マスでは出来ないことをやる、

答えは幾つか具体的に出た。

それでも、3人に共通していたのは情報で溢れかえっている社会、そして情報そのものに対する反抗だ。

「雑草」という一括りの言葉で片付けてしまう安直さ(それは生活に直結している)、webから抜き取った一つの単語だけで全て分かった気になってあぐらをかいている自分たち。

わからない、知らない、ということをまずは自分で飲み込み、わからないことを伝えたい、伝えきれないことを伝えたい、その結晶が紛れもなく本だということ。

そんなことを語って頂いた。

そして本はその人そのもので、名刺であり、出会いであるということ。

本を通して出会えたLOCKETの内田さん、微花の石躍さん、西田さん、そして集まって頂いたお客様に感謝したい。

honhito

 

 

 

2015.11.08ブログ

「微花」と紫苑と花の名前

当店で今人気の本がある。

「微花」という本で20代の青年が2人で作っている。

植物図鑑と謳い、内容はというと花の写真と花の名前だけが添えられている。

その写真はただ町中に咲いている花がそのまま撮られている。家の庭、軒先、道ばた、公園、何気なく通りすぎている景色にその花は咲いている。

シンプルで美しい本だ。春、夏、と出て先日秋号が届いた。

2人はお店にも来てくれた。小さな本だけれど真剣に創っているのが伝わり、こちらも応援したくなる。

 

さて、その秋号の表紙が「紫苑/シオン」だった。

僕はその名前を知っていた。

僕の好きな漫画「MASTERキートン」の短編に出てくる。

保険調査員のキートンさんはシオンの咲くイタリアはナポリの小さな町である凶悪なマフィアと戦う判事と出会う。

判事は仲間を殺され、遂には妻の身体を奪われ、殺されながらも、そのマフィアを追い詰める。

マフィアは「早く殺せ、お前は結局復讐のために戦っている、俺達と同じだ」と迫られるが、生前の妻の言葉を思い出し、踏みとどまる。

「もし私が殺されるようなことがあれば復讐するのではなく墓前にただシオンの花を供えて下さい」と妻は言い残していた。

 

その強烈な物語を読んだおかげでシオンの名前はしっかりと僕の中に刻まれた。高校生の頃だった。

花の名前はどのようにして覚えるのだろう。

祖母は牡丹が好きだった。父は秋桜が好きで、妻はプロテアという花が好きだ。桔梗は中島みゆきの歌で知った。くるりの歌詞にも花が良く出てくる。

誰かがその花を好きだと言った記憶や刻まれる物語や口ずさむ歌の中で花の名前を覚えていく。

そんな記憶を一枚一枚重ねることも生きる喜びの一つだ。

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