本とわたしを離さないで

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2022.02.11

2022年2月23日(水・祝)―3月6日(日)潮田登久子『マイハズバンド』

夫・島尾伸三と娘のまほ、洋館の一室で過ごした3人のにぎやかな日々と、静寂が訪れる夜の部屋でひとり向き合った孤独。約40年間眠っていた写真の物語がいま紐とかれる。

 

娘のまほが産まれて間もない1979年の初め、3人は、憲政の神様といわれた尾崎行雄の旧居を移築した東京・豪徳寺の歴史的な洋館に引っ越しをします。そこは「箱のような」二階の一室。この借家では、風呂もなくトイレが共同で、当初は冷蔵庫すらなかったと言います。妻になると同時に母となった潮田の、慌ただしくも充実した日々が始まります。夫の島尾は、表現者としても家庭人としても異種な人物であり、加えて、潮田と同じ狭い生活空間の中で写真を撮っていたのでした。そのような相手との記録だからこそノスタルジックでも、風刺でもないバランスを保ち、モノの背景に潜む人間のドラマを見せ、潮田作品の特徴的な冷静さがいっそう磨かれた作品といえます。本書ではまほが生まれた1978年からの約5年間で構成され、潮田の代名詞である6×6の正方形のフォーマットのBook 1、35mmのスナップショットのBook 2をセットにした、彼女の写真の原点となります。

 

本展では潮田のプリント作品のほか、『マイハズバンド』にまつわる二人の思い出の写真などで構成します。

 

この建物の住人が寝静まる頃には、枕元の中古の大きな冷蔵庫のモーターがガタンという不気味な音をさせるなり唸りはじめます。それを聞いているうちに、私の漠然とした不安が頭をもたげてきます。月や星がどこかへ行ってしまった、カーテンの無い大きな窓の向こうの黒い森を眺めているうちに、私はいつの間にか眠りにつくのです。

潮田登久子

 

『マイハズバンド / 潮田登久子』(torch press)

テキスト:光田ゆり、長島有里枝 
デザイン:須山悠里
仕様:240 x 190 mm/Book 1: 122P、上製本/Book 2:76P、並製本
言語:日本語・英語

潮田登久子(うしおだ・とくこ)
1940年東京生まれ。1963年桑沢デザイン研究所写真学科卒業。1966年から1978年まで桑沢デザイン研究所および東京造形大学講師を務める。1975年頃からフリーランスの写真家としての活動を始める。代表作に様々な家庭の冷蔵庫を撮影した「冷蔵庫/ICE BOX」がある。2018年に土門拳賞、日本写真協会作家賞、東川賞国内作家賞受賞。

 

2022.01.26

2/9(wed)-2/20(sun) 金子佳代『YELLOW PIECES』

東京を拠点に活動する画家、金子佳代の個展を開催致します。

金子さんは昨年、作品集『floaty』を発表されました。

この作品集でも時折印象的に使われている「黄色」をモチーフにした作品を中心に展示します。

ドローイングやコラージュなど数々の黄色いかけらをお楽しみください。

 

金子佳代 / KANEKO Kayo
2001年 多摩美術大学立体デザイン科ガラス科卒業。

〔個展〕

2021   「floaty 」(Alt_Medium / 東京)

2021 「金子佳代 個展」(homspun shop / 東京)
2020 「collage some」(Alt_Medium / 東京)
2020 「Shell & Without shell」(stripe room / 東京)
2019 「Paper Works」(Alt_Medium / 東京)ほか

〔instagram〕
https://www.instagram.com/kayodory/

2022.01.05

2022年1月20日-2月6日 植本一子写真展『わたしたちのかたち』

blackbird booksではちょうど2年ぶりとなる植本一子さんの写真展を開催致します。

植本さんは昨秋に自費出版で「ある日突然、目が覚めて」(日記)「わたしたちのかたち」(写真集)を発表しました。

これまで愛や家族、そして死について向き合って来た激動の日々を日記や写真として発表して来た植本さんですが、この2冊を読んで植本さんの歩いている道がまた新しいフェーズに入ったと僕は感じました。もちろんそれは「わたしたちのかたち」のカバー写真のように光溢れるものです。

生きるということ、そこに人がいるということです。

皆さんはどう感じましたか?そして展示の写真を見てどう思われるでしょうか?

展示では額装の写真はもちろん、大量のスナップ写真をご覧頂けます。どうぞお楽しみに。

 

トークイベントは感染拡大を受けて中止となりました。

また、今回2年前は感染症の影響で止むなく中止としたトークイベントを改めて開催します。

1月22日(土)18:30~20:00

会場:blackbird books

参加費:3000円(植本さん、blackbird booksからの特典付)

感染状況を踏まえ、少人数での開催となります。

ご予約はメール(info@blackbirdbooks.jp)、お電話(06-7173-9286)、店頭にて承ります。

定員になり次第、受付終了。先着順となりますので何卒ご了承くださいませ。

・参加はおひとり様ずつとさせてください。

・万一の感染拡大に至った場合は開催中止となる場合がございます。

・小さな店舗です。心身面で不安のある方はどうぞ無理をなさらないでください。

 

植本一子
1984 年広島県生まれ。2003 年にキヤノン写真新世紀で荒木経惟氏より優秀賞を受賞。 写真家としてのキャリアをスタートさせる。2013 年より下北沢に自然光を使った写真館「天然スタジオ」を立ち上げ、一般家庭の記念撮影をライフワークとしている。著書に『かなわない』『うれしい生活』など。

2021.12.02

岡野大嗣第三歌集『音楽』展 A面 2021.12.8-19 B面 2022.1.7-16

「サイレンと犀」「たやすみなさい」(書肆侃侃房)に続く岡野大嗣の第三歌集「音楽」(ナナロク社)発売記念の展示を開催致します。

最初の2作はそれぞれ発売から7年、2年経ちますが今もロングセラーを続けており、その勢いは衰える気配がありません。

それを証明するように岡野さんの短歌によって初めて短歌に出会う人も少なくありません。

今回の「音楽」は近年詩と短歌の本に注力してきたナナロク社とタッグを組んでいます。岡野さんの創作の源にもなっている、音楽。

その音楽を表現する展示になります。

会期は年末(A面)と年始(B面)の二期で構成し、展示内容を一部入れ替えます。

メインの展示は歌集を紙面から壁面へと展開します。連作としての短歌の魅力を、新たなレイアウトや、木版への手描きなど、空間で見て読んで聴いて頂く試みです。

また岡野大嗣による朗読音声のダウンロード、岡野大嗣のコメント付き選書・選曲などの企画、そして本書の装丁画を手がけた佐々木美穂さんの原画を展示します。

細部まで岡野さんとナナロク社のこだわりが詰まった展示になります。

どうぞお楽しみに。

 

2021.11.04

11.19(Fri)-12.5(sun) 『ショーン・ロトマン / Amoeba』 完成記念 ”溶け合うふたりの言葉と写真”

小説家を夢見ていたショーン・ロトマンは、ニューヨークで偶然一人の女性と出会う。後に妻となる女性とアフリカ大陸を皮切りに世界中を旅し、やがて京都に行き着き子どもを授かるまでの個人的なラヴ・ストーリー。先々で撮影された感情的なスナップショットと、流れては留まる心の機微を捉えたエッセイ(英語/日本語)で構成される。

完全リソグラフ印刷、そして手作業で製本されたこの写真集『Amoeba』(NEUTRAL COLORS 限定300部)の発売を記念しショーン・ロトマンの展覧会を開催致します。

展示では写真と共にこの作品の重要な要素である「言葉」を展開します。

333部限定で発売された前作『Middle Life Notes』も販売予定。

どうぞご期待ください。

Sean Lotman
1975年生まれ、ロサンゼルス育ち。2011年より京都を拠点に写真家、また作家として活動す
る。ロンドンの出版社〈Bemojake〉より初写真集『Sunlanders』を発売。アメリカ、デンマーク、イギリス、オーストラリア、台湾など、多くの国で注目される。2020年1月、ベルギー・アントワープの〈IBAHO gallery〉で『Middle Life Notes』展を開催。