本とわたしを離さないで

category archives : 展示

2023.05.05

2023 5.24-6.11 富澤大輔 写真展『平行写真』

写真家・富澤大輔の写真集『平行写真』の発売にあわせて、blackbird booksにて写真展示を行います。

***

本書『平行写真』は、強要的な情感のない写真群がただただひたすらに展開していきます。

「これは一体なんのためにまとめられた本なのか……」

と、つかみきれないまま、読み進めていくにしたがってわたしたちは次第に、撮影する富澤の隣で一緒になって歩いていく=“平行移動”をしているかのような錯覚をもちはじめます……。

「ぬくもりだの暖かさだの、そんなのは誤魔化しですよ。

 僕は、人生の本当の姿を描きたいんです。」

 ――小津安二郎

映画監督・小津安二郎氏はそんな言葉を残しています。

写真/写真集という媒体もその特性上、広義のフィクションの扉をくぐりますが、しかしそんなフィクションの中に入ってもなお、富澤の写真は、ただそこにある/本当の姿だと思わせる“圧倒的リアリティの光”を放ちます。

この『平行写真』の最初の写真の前にも最後の写真の後にも、わたしたちの目の前にはなんら変わりのない光景がただあるだけです。しかしそれは、この写真集がわたしたち自身のこれまでとこれからの“平行移動”と溶け合っているからなのかもしれません。

***

前作の写真集『字』は“感動しない風景に感動することに、感動する”をキーワードに、全国4ヶ所で写真展が行われ、国際デザインコンペ「東京TDC賞2023」ブックデザイン部門にて、受賞ノミネート作品にも選ばれました。

今作『平行写真』も、写真から紙を通して指先へと伝わる細部に至るまで調和のとられた設計がされており、前作『字』からの流れを汲みつつも上まわる存在感を持つ書籍となっています。

 

富澤大輔

1993年生まれ。台湾高雄市出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了。2021年に独立系版元「南方書局」を立ち上げる。主な作品に写真集『GALAPA』、『Peer Gynt』、『新乗宇宙』、『字』などがある。

 

富澤大輔 写真展 『平行写真』

2023 5.24-6.11(月曜休み)

at blackbird books

2023.04.08

4/28-5/21『NEUTRAL COLORSの言葉をポストイットする 第4号「仕事」特集 刊行展示』

インディペンデント雑誌『NEUTRAL COLORS』の第4号の特集は「仕事」。

仕事とはなにか?働く意味は?個人的で根源的な問いが、オフセット印刷とリソグラフの印刷レイヤーに重なります。

この展示では、雑誌に通底する個の言葉にフォーカスをあてます。リソグラフのテスト刷りで壁面を構成し、編集者・加藤が4号の特集の言葉を貼り重ねていきます。雑誌のなかの言葉を壁面に引っ張り出し、新しく再構築する試みです。

壁を眺めるあなたも、浮かんできた言葉を貼ってみてください。「仕事について。生きることについて」——言葉をポストイットして、NEUTRAL COLORS最新号を立体化しましょう。

 

『NEUTRAL COLORSの言葉をポストイットする』

4/28(金)〜5/21(日)

at blackbird books

10:00-19:00 月曜、第三火曜定休

 

NEUTRAL COLORS
編集者・加藤直徳が主宰する出版プロジェクト。リソグラフ、シルクスクリーンなど、印刷に手作業を組み込んで本をつくる。またNEUTRAL COLORSとは、出版社名であり、 少人数で工房を共有し必要に応じて集まってつくることができる開かれたスペース名でもある。印刷製本のアジールのような場所を目指している。

加藤直徳(かとう・なおのり)
編集者。出版社、編集プロダクション、デザイン事務所それぞれで『NEUTRAL』『TRANSIT』『ATLANTIS』を創刊。一貫して雑誌の編集にこだわりを持つ。2019年より一人出版社「NEUTRAL COLORS」を開始。2021年に雑誌NEUTRAL COLORSを創刊し現在まで4号までを発行。

 

2023.03.08

未明編集室『雨犬』刊行記念 柳本史版画展 4/1(土)〜4/23(日)

”老犬”で語り手の「雨犬」と”若造”の「ペンキ職人」。
音楽を聴き、詩を詠み、コーヒーを飲み、散歩に出る。
雨のように静かな二人の暮らし。
時々雨犬の頭をよぎる暖かい思い出。

版画と小さな物語。

柳本史さんと外間隆史さんの詩情溢れる本『雨犬』(未明編集室)刊行記念展を開催します。

アンティークの額装を使用した版画作品10数点を展示販売。

ご来店お待ちしております。

 

A RAIN DOG TOUR 2023 FUMI YANAGIMOTO EXHIBITION

未明編集室『雨犬』刊行記念 柳本史版画展

4/1(土)〜4/23(日)

blackbird books

10:00~19:00

※会期中4/3,10,17,18休み 4/7は18時閉店

 

 

2023.02.11

2/28-3/19 『日本国憲法』刊行記念 齋藤陽道パネル展

日本国憲法は誰のものか?
もう一度読み、感じ、考える私たち自身の憲法。

日本国憲法の条文全文に、写真家・齋藤陽道さんのカラー写真24点を組み合わせたハンディな一冊。
戦後70余年、私たちの幸福と平和の土台となってきた憲法を、いまの暮らしのなかでそれぞれの人生を生きる人々の姿を深くとらえた写真とともに読み直す。

刊行から間もなく一年、反響が続いている『日本国憲法』に掲載されている齋藤陽道さんの写真と日本国憲法のパネル展を開催します。齋藤さんの著作も並びますので、憲法はもちろん、言葉や写真について考えるきっかけになればと思います。

齋藤陽道(さいとう・はるみち)
1983年、東京都生まれ。写真家。都立石神井ろう学校卒業。2020年から熊本県在住。陽ノ道として障害者プロレス団体「ドッグレッグス」所属。2010年、写真新世紀優秀賞(佐内正史選)。2013年、ワタリウム美術館個展。2014年、日本写真協会新人賞受賞。
写真集に『感動』、続編の『感動、』(赤々舎)。著書に『写訳 春と修羅』(ナナロク社)、『異なり記念日』(医学書院・シリーズケアをひらく、第73回毎日出版文化賞企画部門受賞)、『声めぐり』(晶文社)がある。

saitoharumichi.com

 

2023.01.29

2/7-2/19 『Time in Air, Time in Paper / Sachiko Morita 森田幸子』

2022年の終わりに販売を開始したフランスのアンジェを拠点にするアーティスト森田幸子の作品集『Time in Air, Time in Paper』。

作品の素晴らしさはもちろん、発売後大きな反響を頂いていることもあり当店にてささやかな展示販売を行うことになりました。

限られた期間、限られた点数ではございますが、原画プリントを見られる貴重な機会。

ご覧頂ければ幸いです。

 

Time in Air, Time in Paper

at blackbird books 2/7-2/19 (2/13は定休日)

原画プリントと作品集の展示販売

作品のご購入は先着順となります。予めご了承くださいませ。

 

作品について、発行元であるCAIRO APARTMENTの紹介文をご一読ください。

 

フランス・アンジェを拠点とするアーティスト森田幸子は日々の生活の中で見つける自身の喜びや好奇心に非常に質実である。それを証明するかのように、彼女の眼差しは庭の土からフィルムカメラへ、そして水彩画紙へと移りゆく。

彼女の制作プロセスはユニークだ。イタリア製水彩画紙に刷毛で感光剤を塗布し、自らの印画紙を作ることから始まり、35mmフィルムカメラを使い自然光の中で撮影された写真を、アンティークの引き伸ばし機を使用して、印画紙に焼き付ける。その後、お湯と絵筆で影を描くように感光剤を細心に取り除く。
それゆえ、彼女の作品の特徴であるドローウィングのような直感的な被写体の輪郭には、瞬間的な時を捉える写真的側面と、線や影を定義しながら時間を経て完成させる絵画的側面とのふたつの表情が垣間見える。本作『Time in Air, Time in Paper』では、そのふたつの側面を意識し、20年以上に亘る51作品を再編、水彩画紙に存在する彼女の素朴な時の流れを捉えることを試みた。「現実と過ぎ去る時間」を彼女の作品からは強く感じるが、その独特ともいえる時の流れに記憶を巡らすことで、視覚に加え、感覚によって鑑賞することの喜びを私たちに与えるだろう。