本とわたしを離さないで

2021.05.31展示

6/9-6/27『ぼくの鎌倉散歩』『詩集 言葉のない世界』(港の人)刊行記念 山田愼二写真展 詩人・田村隆一

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お電話でも承ります。

文明に精神を侵された人間の姿を見つめ続けた詩人・田村隆一。酒を愛し、自由を愛し、生涯を詩人として生き通した田村は、死の直前に刊行された詩集『1999』で「さよなら 遺伝子と電子工学だけを残したままの/人間の世紀末」と言い遺し、私たちを21世紀に置き去りにして、颯爽とこの世を後にしました。
後半生を暮らした鎌倉をうたう詩やエッセイを厳選収録した『ぼくの鎌倉散歩』が昨年末に刊行、そして、今春に1962年に刊行され今なお戦後詩を代表する詩集と言われる第2詩集『言葉のない世界』が復刊され、詩人・田村への注目が高まっています。
詩人の最晩年、鎌倉に3年間通って撮影を続けたフォトグラファー・山田愼二による貴重なポートレイト群を展示します。
これまで東京など5カ所で開催され好評を得ている写真展、関西での初めての開催になります。厳選した作品を展示いたします。

また、刊行元である「港の人」の詩集フェアも同時開催致します。

ぜひご来場ください。

 

言葉なんかおぼえるんじゃなかつた

言葉のない世界

意味が意味にならない世界に生きてたら どんなによかつたか

あなたが美しい言葉に復讐されても

そいつは ぼくとは無関係だ

きみが静かな意味に血を流したところで そいつも無関係だ

あなたのやさしい眼のなかにある涙

きみの沈黙の舌からおちてくる痛苦

ぼくたちの世界にもし言葉がなかつたら

ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう
「帰途」 『詩集 言葉のない世界』より

 

山田愼二 プロフィール

新潟県上越市生まれ。東京造形大学デザイン学科映像専攻卒業。 平地勲氏に師事後、独立。一九九〇年、有限会社シーン・セカンド設立。 俳優、ミュージシャン、アーティスト、スポーツ選手、会社経営者など、ジャンルを問わない人物写真を数多く手がける。 公益社団法人日本広告写真家協会正会員、キヤノンマーケティングジャパンEOS学園講師、キヤノンフォトクラブ東京JOY顧問。

フォトグラファー山田愼二ホームページ https://www.yamadashinji.com/

田村隆一 一九二三─一九九八。

東京生まれ。一九四七年に、鮎川信夫、北村太郎らと詩誌『荒地』創刊、戦後の現代詩を牽引する。第一詩集『四千の日と夜』、第二詩集『言葉のない世界』(高村光太郎賞受賞)が高い評価を受ける。一九七〇年に東京から鎌倉へ転居し、終の住処となる。死の直前に刊行された『1999』に至るまで生涯にわたって詩作を続けるほか、評論、随筆、翻訳なども数多く手がけた。