本とわたしを離さないで

2017.05.21ブログ

ブックストアで待ちあわせ

bbbをご贔屓にして下さっているあるご夫婦がいる。

月に一度か二度は必ず来られる。

ご主人は無類の本好きであまり時間をかけずに選ばれたものをさっと棚から抜き取りレジに持って来る。

去り際に「また来ます」と言って自転車に乗り帰っていく。

奥様はお花が好きで僕の相方が選んだ花を毎月喜んで買って帰る。

去り際に「ありがとうー」と言って彼女もまた自転車に跨り帰っていく。

時々お二人は時間差でやって来る。

大抵奥様が先にやって来て、しばらくするとご主人がやって来る。

どちらかが買い物か用事を済ませてやって来るようだが細かいことは聞かない。

「今日はお一人ですか?」と奥様に聞くと

「そやねん、珍しいやろ」とニヤニヤする。そうしている内にご主人がやってくる。

「あ、来た」と何事もなかったように言う。

「待ち合わせですか?」

「そやねん。待ち合わせと言えばここしかないやろう」

僕はそれを聞きたくてわざと聞いてみたりするのだ。

最近の人は待ち合わせをすることが下手くそになった、と保坂和志が何かの本で書いていたけれど、

それは場所のことだったか。時間のことだったか。

どこかで誰かを待つ、ということは決して時間の無駄ではなく、貴重な時間だと思う。

そんな時間をウチに預けて下さって感謝しかない。

僕が初めて相方と待ち合わせをしたのは梅田のブックストアだった、ということを思い出した。