本とわたしを離さないで

2017.05.20ブログ

カップルズ

カップルが店にやって来る。

多くは片方が片方を誘ってやって来る。

男が本を見たくて女を誘う。

男はじっと黙って本棚を順に眺めていく。

女は雑誌をパラパラとめくり、すぐに退屈そうに店を歩き回る。

女が本を見たくて男を誘う。

女も黙って本棚を眺めたり、探していた本が見つかると「これ見て」と言う。

男は退屈そうにアート関係の本をめくったり、女の横をくっついて歩く。

極稀に二人共がウチを目がけてやってくることがある。

ドアを開けて入るなり無言になってあらゆる本を手に取っていく。

ページをめくる音だけがパラパラと聞こえてくる。

僕は出来るだけ音楽のボリュームを下げる。

いづれにせよ、デートの予定に本屋が組み込まれていることは嬉しい。

ここで買った本が思い出になればなお嬉しい。

何といっても本は形として残るものだから。

僕はどうだったか。

デートに本屋へ行ったかな。

答えは、風に吹かれてもう手の届かないところにある。