2016.07.21ブログ
移転した新しい店は小学校の通学路だ。
登校時に店は開いていないけれど下校時には小学生達が店の前を通り過ぎていく。
僕らがそうだったように彼らは寄り道が大好きだ。
学校の近くに一体全体何が出来たのかと店の中を覗き込んでいく。
「図書館だ!」
歓声があがる。
「はらぺこあおむしがある!」
「違うよ、本屋さんだよ」
店に入って来る子もいるが
「寄り道しちゃダメだよ!先生に言うよ!」
別の子に呼び止められる。
別の日には別の子が
「図書館が出来てる!」と大きな門を仰ぎ見るように店の前で棒立ちしている。
そして近所に本が触れられる場所が出来たことに興奮している様に見える。
意外なのは彼らが本のある場所を見ると本屋ではなく図書館と認識していることだ。
恐らく本屋よりも先に図書館が身近なものとして体験しているのだろう。
僕もそうだった。
小学生の頃、本屋に行った記憶はないが図書館へ通った記憶はある。
近所に本屋がなく図書館があったからかも知れないが、一人で気軽に臆することなく入れて本に触れて読めるのが図書館だったのかも知れない。
図書館とはどんな場所だろう。
子どもたちが本を見て嬉しそうにするのは何故だろう。
あの好奇の目はいつまで輝くのだろう。
僕はどうだろう。
一体、この地に足の付かない世界の中で図書館のような世界が幾つあるだろう。
移転後間もなく、子どもたちの声がダイレクトに響き、夏葉社の新刊「移動図書館ひまわり号」が発行(復刊)され、図書館、公共の空間、言論、そしてまた本について深く考えてしまった。
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