本とわたしを離さないで

2019.06.30ブログ

5周年

6/10に5周年を迎えた。今は雨が降っている。紫陽花を飾りたい。青色の、紫と青の中間のような青色の紫陽花を飾りたい。幾つかの失敗があり、すれ違いあり、また出会いがあった。近所の幼稚園児が小学生になった。昨年は台風でシャッターが吹き飛んだ。地震で本棚が倒れた。信じられないことに柴田元幸が二回も朗読をしてくれた。客数はそんなに増えていない。作家、画家、写真家が遊びに来るようになった。そのうちの何人かは一方的に友人だと思っている。友人に過ごした年月は関係ない。bbbでは本を出版しないのかと時々言われる。復刊したい詩集が一冊ある。お金が欲しい。「ちょっと見せてください」と言いながら入って来られるのが苦手だ。「買いませんけど」と前置きされているようで「いらっしゃいませ」と言いながら自分の顔が引きつっているのがわかる。池ちゃんが来てくれた。植本一子がうちでトークしたいと言っている。CDの取扱をまだまだねちねち悩んでいる。今年は広島と熊本に行きたい。東京にもう一回行きたい。藤岡拓太郎はいつも自転車でやってくる。お洒落な帽子をかぶって。もともとそんなに見ないテレビをほとんど見なくなった。信じられないことに安倍政権がまだ続いている。年金を払いたくない。本をどんどん好きになっている。発見と驚きに満ちている。触って、開いて、読んで、眺めて、置いて、楽しんでいる。人類がいる限り本は残るだろう。今もどこかで誰かが本を読んでいている。この5年間で出ていった本はどこでどうしているだろう。好きなだけで仕事は出来ない。絵本の品揃えに悩んでいる。買い取りします。通販してますと時々遠方から来てくれる。店のあるマンションの住人が何度か入れ替わっている。時々挨拶を交わしていた家族がどこかへ行ってしまった。常連さんをしばらく見ないと不安になる。大切なお客様が二人亡くなった。これからもそういうことは起こるだろう。面白いことに取材は年を追うごとに減っている。それは健全だと思う。道を行く9割の人が通り過ぎていく。それでいいんだよ、とある芸術家が言った。日常から、生活から、ふと離れた瞬間に店に入ってくる人が必ずいるよ、と言った。雨がやんだ。

 

よちよち歩きだった娘が小学生になり、毎日丘を登っている。春に新しい子どもが生まれた。妻が寝不足で心配だ。彼女が仕入れた花を早く飾りたい。同じく子どもが出来た本を創っている人と「子どもが成人するまでお互いあと20年は頑張りましょう」と話した。商売に鮮度は重要だ。しかし鮮度を失っても輝いている本はある。この本は20年後も読まれているだろか、と考えることがある。と考えることが増えた。今日も死者たちの音楽を聞き、死者たちの本を読んでいる。