本とわたしを離さないで

2019.05.12ブログ

世界を見つめる視線 『LOCKET』と『微花』

GWに2つのトークイベントを開催した。

旅の雑誌『LOCKET』と花の写真絵本『微花』。

『LOCKET』は内田洋介さんが一人で、『微花』は石躍凌摩さんと西田有輝さんが二人で作っている。

どちらの本もblackbird booksがお店を始めた5年ほど前からの付き合いで3人とはそれから交流が続いている。

僕は3人の世界を見つめる視線が好きだ。

 

インドのイメージについて客席に問いかけ、「汚い」「万引き」「貧富の差が激しい」「カレー」などの応えがあったときに内田さんは

「実際に行ってみて僕が見ているもの、見えるものはちょっと違うんですよね。洗濯物の服の模様が綺麗だとか、山道が日本の風景に似ているとか、子供が公園の遊具で遊んでいるとか、市場で家族がご飯を食べているとか、そういう日常の風景、人々の営みに、僕は惹かれるし、そういう風景を見てみたいんです」

内田さんは仕事の合間を縫っては資金をどうにかやりくりし世界中を歩き回っている。

 

子供の頃から毎日のように歩いている通学、通勤の道に咲いていた花に気づいた時、そしてその花の「名前」がハナミズキだと分かった時、石躍さんは世界が開けたと言う。厳密に言えば世界は既にそこでいつもの場所にあって、花は毎年その場所で咲いていて、開かれたのは自分の方だったと。花の「名前」を知ることで見えている世界が一変する。

 

これは自分の見えいている世界と日常を「歩く」ことでしか分からないことだ。人間の最も容易く見える根本的な行為によって、世界が既にそこにあることを発見出来ること。

少し包括的な広い言葉で言えば、世界は美しい、と気づくこと。

そのことを知っている3人が見ている世界。

その視線の先の世界を「本」を通してこれからも見ていきたい。